研究概要 |
N体問題に代表されるHamilton系 H=T(p)+V(q)を数値積分する最も原始的,かつ単純なスキームはオイラー法であるが,オイラー法では相空間の面積要素(symplectic2-form)が一般に保存されず t=0の(q,p)からt=tの(q',p')への変換が正準変換とはならない.そして,保存すべきエネルギー値の誤差がsecularに増大し,長時間の数値計算の結果の信頼性を失わせる.この事情は局所的な誤差を小さくするRunge-Kutta型の積分法,および従来の多段型の積分法においても同様である.シンプレクティック数値解決は(q,p)から(q',p')への変換が厳密に正準変換(シンプレクティック変換)となるように設計された積分法である.このシンプレクティック数値解法に関連して今年度以下の成果を得た. 無限自由度のHamilton系と考えられる非線形Schrodinger方程式を含む一連の偏微分方程式に対する(mixed variable)symplectic解法を開発した.1次の解決は「split-step擬Fourier法」として知られる既知のものである.高次の陽的解法も簡単に構成でき高速で高精度の数値計算を可能にしている.
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