理論的な面では、金属欠乏星の進化を、これまでの低質量星だけでなく、中質量星まで拡張した。これは、これまで見出されているうちで、最も金属量の少ないのは、高速度星の捜索過程で発見された炭素矮星G77-61の[Fe/H=-5.6であり、その素性を明らかにすること、および、LMCの重力マイクロレンジングに実験からのMACHOsの質量が白色矮星に対応するとの示唆を受けて、その母恒星と考えられる〜2M_<【of sun】>の恒星の進化の特異性を明らかにすることが主たる目的である。これまでは、これらの恒星については、ヘリウム・フラッシュに点火した段階までの計算しかなく、本研究では、ヘリウム・フラッシュ進行を計算し、これらの金属欠乏星の進化の全体像を明らかにし、種族IやIIの恒星からの観測的な識別の方法について検討した。これらの結果については、1997年度天文学会秋季年会で報告するとともに、現在、論文を執筆中である。 観測に関しては、5月13-14日、9月11-16日、12月12-14日の東大の木曽観測所のシュミット望遠鏡で、観測した。このうち、観測できたのは12月だけで、この時は、満月だったため、2kCCDを用い、4°対物プリズムを装着して、金属量の少ない炭素星の分光観測を行い、将来探索の対象となる金属欠乏星のサブ・グループであるの炭素量の特徴を見るための予備的な観測ができた。本研究の目的は、Beers達による捜索(限界等級は公称16等)を凌駕できる可能性を追求することであるが、木曽観測所での眼界等級を求め、この後の探索の方針を検討することは、来年度に持ち越すことになった。
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