研究概要 |
今年度は、過去2年間に本課題にて購入した中帯域(MB)フィルター及び狭帯域(NB)フィルターを用いて、z>4の明るい銀河の探索を行なった。主な観測領域は、HDF(ハッブル・ディープフィールド)を中心に据えた50分角天域で、データは1998年12月及び1999年5月の木曾シュミット観測時間割り当て時に取得した。用いたフィルターはバンド幅(BW)40nm、中心波長(CW)620、661、700、745、795nmの中帯域フィルター5バンド、これを挟む形でB,V,I,の計8バンドである。限界等級は620nm以上で約22AB等級、B,V,で約23AB等級に達している。 解析の結果、スペクトルの長波長側がフラットで620ないし661nmバンドの短波長側が約1等級暗くなっており、更にBバンドが非常に暗いという天体が、22等級前後に数個見い出された。これらはz>4にある星生成の活発な若い銀河である可能性が大きい。high zの銀河やQSOは構造形成期にある天体と宇宙空間の解明に欠かせないものであり、特に22ないし23等より明るいものはすばるクラスの望遠鏡により相当の高分散分光が可能であるため、今後、これらのz>4銀河候補について、金属吸収線の有無や吸収の程度など詳しい分光解析を大口径望遠鏡を用いて行なっていく計画である。
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