銀河進化の遷移過程が宇宙のどの時期に起こったかを探るため、理論と観測の両方面から研究を行い、以下に述べるような重要な知見を得た。 楕円銀河の色一等級関係の起源を考察し、それが星の金属量であり、銀河風モデルによって予測されるものと一致することを明らかにし、その進化モデルを用いて楕円銀河の色一等級関係の進化を予測し、銀河の形成時期の赤方偏移が2.5-4よりも大きいとき、それが赤方偏移が0から1.2の銀河団の楕円銀河の観測を非常に良く再現することを示した。これから銀河団の楕円銀河の形成時期を知る事ができた。また、新たに赤方偏移が1.1の銀河団を発見し、その色一等級関係も上記の結論を支持することを突き止めた。次に、銀河風モデルを用いてCO光度の進化を予測し、銀河風が吹く前の楕円銀河ではCO光度が著しく増加し、電波望遠鏡で観測可能であることを示した。QSOBR1202-0725(z=4.7)はこのような形成期にある楕円銀河であると考えられる。 遷移過程の起こる前の楕円銀河では大規模な星生成が起きているはずである。その時、銀河は多量のガスとダストを含む。従って、銀河のスペクトルには星以外にダストによる吸収と再放射の影響が顕著に現れるはずである。この効果を採り入れて、形成初期の原始銀河のスペクトル進化を予測するモデルを新たに構築した。このモデルを用いて、近傍のスターバースト銀河の紫外域からサブミリ波域のスペクトルを分析し、これらの銀河の星の平均の年齢とダストによる吸収を分離して求める事に成功した。近傍のスターバースト銀河の物理状態は原始銀河に非常によく似ていると考えられるので、このモデルを用いれば赤方偏移が4以上の遷移が起こる前の銀河のスペクトルを分析してそれらの年齢を求めることができ、銀河形成の時期を独立に決定することができる。
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