1. 暗黒雲Barnard1(B1)の中心領域をミリ波-サブミリ波ポロメータカメラ(野辺山45m鏡NOBA、CSO SHARC、JCMT SCUBA)および野辺山ミリ波干渉計で観測し、これまでに知られていなかった2つのダスト連続波源を検出した。新たに見つかったダスト連続波源の350μmから3.5mmまでのスペクトルから、これらがダスト温度18Kを持つ非常に低温の(すなわち若い)天体であること、また質量1.6-1.8M_<【of sun】>、光度2.6-3.1L_<【of sun】>を持つことが明らかになった。ダスト連続波の結果から明らかにされた物理的性質(3000AU程度の中心集中した成分の存在、密度の動径分布、中心星の質量とエンベロープ質量の比等)はClass0原始星の性質と共通している。しかし、Class0天体に特徴的な質量放出現象は、これらの天体では観測されていない。観測結果は、B1で見つかった2つの天体の中心には、既知のClass0天体よりも若い原始星が存在している可能性が高いことを示している。また、ミリ波干渉計によるH^<13>CO^+分子輝線の観測から、2つの天体の方向ではH^<13>CO^+分子の存在量が通常の分子雲より著しく(約1/10)減少していることが明らかになった。 2. 典型的なClass0原始星であるB335を野辺山45m鏡とミリ波干渉計を用いてC^<18>OとH^<13>CO^+輝線で観測し、その原始星エンベロープの構造と運動を明らかにした。B1のサブミリ波源とは異なり、B335では原始星をとりまく2000AUスケールのエンベロープがH^<13>CO^+輝線でよくトレースされている。原始星エンベロープは、分子流軸に垂直なディスク状の形状を持ち、半径の-2乗に比例する密度分布を示す。エンベロープには回転運動が見られるが、その回転速度はケプラー回転の速度よりも遅く、エンベロープの重力収縮を支えるには不十分であることが明らかにされた。
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