まず、夏に日本で開催されたIAUシンポジウム「The Hot Universe」でASCAによって得られたOri OB1bアソシエーション領域のX線観測の結果の発表を行った(Nakano 1998)。現在は、本論文の日本天文学会欧文報告PASJへの投稿準備の最終段階にある。一方では野辺山宇宙電波観測所の45-m鏡とマルチビーム受信機を用いてオリオン領域において我々の提唱するレムナント雲(残骸分子雲)のCO分子線観測を行った。その予備的な成果は1997年天文学会秋季年会で発表(仲野ほか P20b:オリオンOBIb領域のレムナント雲の観測)を行った。しかし、天候、機器トラブルなどでサンプル数が不十分だったため、再度12月に追加観測を行った。最終的には18領域において観測を行い、そのほとんどに分子輝線の存在が確認され、多くには輝線星を含めて前主系列星が付随しており、実際に星形成活動が続いていることを示唆する。赤外線測光データと総合してその解析を進めているところである。これらの中間的な結果もふまえて、Ori OB1アソシエーションにおける残骸分子雲のカタログも作成し、公表した(小倉ほか 1998年天文学会春季年会、P35a)。また、前主系列星の表面分布に着目して、そのクラスタリングについての統計的考察を他の4つの星形成領域を含めて行った(Nakajima et al.1998)。 なお今年度は分子線観測データおよび、赤外線測光データの解析をさらに進めるために本科研費でワークステーションの強化を中心にはかった。
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