研究概要 |
X線天文衛星によって、星形成活動の比較的低いOri OB1bアソシエーション領域で40個以上ものX線源が検出され、0.5-10keVでのX線光度が10^<30>-10^<31>erg/sで、温度は平均で4keVに達することがわかった。8つの天体は既知の前主系列段階にある低質量星(CTTS)に同定された。その多くは馬頭星雲を含む天域にある。その他のX線源に関しては赤外線観測も行ったが、観測データはまだ十分とはいえない。しかし、このアソシエーションに付随した天体でWTTSであったとしても矛盾はないことが示された。さらに系外天体らしきX線源も検出された。同時に同領域において我々の提唱するレムナント雲(残骸分子雲)のCO分子線観測も行った。観測をした24個の雲のうち60%以上で分子輝線の存在が確認され、多くには輝線星を含めて前主系列星が付随しており、実際に星形成活動が続いていることを示唆している。また、前主系列星の表面分布に着目して、そのクラスタリングについての統計的考察を他の4つの星形成領域を含めて行った。2年目は、さらにMon OB1アソシエーション領域もX線観測を行い、前回観測を行ったOri OB1b領域との違いを調べる試みも実行した。Orionに比べて距離はやや遠いため個々のTTSをX線で検出、同定するのは困難であるが、ASCAの1視野でアソシエーションの主要部分を十分にカバーできる。現在まだ解析途上ではあるが、2つの中光度のclass I天体(IRAS9,12)から硬X線が放射されていることがわかった。近傍にある軟X線源との分離が難しいが、X線光度はそれぞれ10^<32>erg/s程度である。その強度分布はこの2つのclass I天体周辺にクラスタリングの傾向が見られるCTTS(近赤外線源)の分布や濃い分子雲の分布などと驚くほど似ており、中質量星形成領域における重要なデータを提供すると思われる。
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