上記の研究課題名の元に3通りの研究テーマについて研究を行ってきた。(1) 重力理論の新しい定式化として、以前に我々が提案した任意次元に一般化されたChern-Simons作用の量子化の問題を扱い、非アーベリアンゲージ群の場合について具体的に量子化を行い、縮退した系の量子化に対応することを示した。特に無限に縮退した系の量子化に対応していることが、明らかになり、これまで知られている幾つかの模型に加えて新しい模型としての非常に面白い例を提示した。これにより我々の一般化されたChern-Simons作用を用いて古典的に構成されたトポロジカルな重力理論の量子化が完成したことに対応している。この定式化には色々な応用がある。特にトポリジカルなYang-Mills理論に応用し量子化の枠組みと、N=2の超対象性及びゴーストが物質場に変換する機構が明らかになり、現在論文制作中である。 (2) 量子重力理論の数値的解析に対する、研究も同時に行っている。ここに示した成果は、コペンハーゲンのニールスボーア研究所のグループと東工大のグループとの共同研究であり、我々が過去に解析したc=-2の2次元の量子重力の模型を有限スケーリングの手法を用いて数値的に解析した。この数値解析は、現在存在する2次元量子重力の数値計算として、最も大がかりな精度の高い計算であり、2次元量子重力のフラクタル構造の確立に明確な結果を与えており、我々が過去に提出した解析的結果を裏付ける結果となっている。 (3) 3次元のアインシュタイン重力はWittenによってChern-Simons作用により定式化されることが知られているが、我々はこれをランダムな格子の上に乗せる定式化に成功した。この論文は現在投稿中である。
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