研究概要 |
上記の研究課題名の元に下記に記述したテーマを含む4通りの研究テーマについて研究を行ってきており、ランダム格子上の重力を含む統一理論に向けての定式化の概観が見えてきた。(1)我々(河本、綿引)が10年ほど前に提案した、一般化されたゲージ理論の量子化の問題に組織的に取り組んだ。特に任意次元に拡張された一般化されたChern-Simons作用の量子化を成功させ、その系が無限に縮退している系の量子化に対応し、量子化後の作用もChern-Simonsタイプであるという、面白い側面を持った理論であることを指摘した。また一般化されたゲージ理論のトポロジカルなYang-Mills理論に対してインスタントンゲージ固定による量子化を2次元の模型について実行しN=2Super Yang-Mills作用がこの量子化により自然に現れ、ゴーストが物質場に変換する機構がDirac-Kahlerフェルミオンの定式化と同等であるという新たな発見が得られた。(2)3次元のアインシュタイン重力はWittenによってChern-Simons作用により定式化されることが知られているが、我々はこれをランダムな格子の上に乗せる定式化に成功しその模型が、Ponzano-Regge模型であることを明かにした。更にこの定式化を発展させて、4次元のBF重力の格子上での定式化に成功した。これにより一般化された3,4次元でのChern-Simons作用の初項に相当する重力理論の格子上の定式化が実現された。(3)2次元量子重力でc=-2の物質場が結合した場合の数値計算に対して詳細な研究を行った。特に2次元量子重力の本質はそのフラクタル構造に有り、その数値的結果は理論計算とも一致する事が明かになった。この手法を、3次元量子重力に拡張する為に、2次元のc=-2模型の3次元への拡張版の模型に対して、string susceptibilityの数値計算を行い、3次元ランダム格子模型でも連続極限の存在を暗示する結果を得た。(4)一般化されたゲージ理論のYang-Mills版を標準模型に応用しSU(2|1)のスーパー群を用いることによって、ワインバーグ・サラム模型に対して新たな定式化が出来ることを示した。
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