今年度は、まずゲージ場の新しい量子化法を考察した。これは、従来質量を持つゲージ場と見なされていた理論を、実は質量の無い理論にゲージ固定項を加えたものと見なせるという可能性の議論である。この考えの実際的な応用はまだ無いが、従来にない新しい見方に導く可能性を秘めており、これからも少しづつ研究を深めたい。第二の研究テーマとしては、最近の格子ゲージ理論におけるフェルミ粒子の扱いの大きな進歩を踏まえて、更に一般化した格子上のフェルミ演算子の可能性を考察した。とくに、負でない整数κにより特徴付けられた無限個のフェルミ粒子の演算子の可能性を指摘した。この演算子は詳細な計算により正しいカイラル量子異常をだすことも確認した。この演算子の局所性の研究は現在も進行中である。 尚、今年度の研究計画は3月12-14日の高エネルギー研究所での研究打ち合わせをもって終了するものとする。
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