研究概要 |
軽核領域の中性子過剰核では陽子はp殻が、中性子はsd殻がアクティブになっており、このような状況に起因すると思われる特異な現象が幾つか見出されている。本研究ではその微視的構造を明らかにするため、入射核破砕反応によって選られるスピン偏極した不安定核ビームを利用して磁気モーメントの測定を行う。今年度はベータ線非対称度を指標とした核磁気共鳴測定に必要な偏極不安定核埋め込み装置とベータ線検出器系および核磁気共鳴用回路系・制御系の整備を進め、それを用いて^<18>N(T_<1/2>=624ms,I=1^-)の磁気モーメントの測定を行った。 測定は理化学研究所リングサイクロトンからの^<22>Neビーム(エネルギーE/A=110MeV/u)を厚さ349mg/cm2のC標的に照射し、θ=3.5±1.5°の方向に放出される^<18>Nを、破砕片分離装置RIPSを用いて分離・収集して行った。その結果、^<18>N基底状態の磁気モーメントとして|μ|=0.3279±0.0017μ_Nが得られた。 得られた測定値をpsd軌道を模型空間とした0hω+1h^1ω殻模型計算の結果と比較した。その結果、二体有功相互作用としてpsdMK相互作用を用いた模型は|μ|の実験値をよく再現するがpsdWBTを用いた模型では実験値よりかなり小さい値を与えることがわかった。
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