研究課題/領域番号 |
09640341
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
細谷 暁夫 東京工業大学, 理学部, 教授 (80028258)
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研究分担者 |
石原 秀樹 東京工業大学, 理学部, 助教授 (80183739)
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キーワード | ビアンキ宇宙 / コンパクト / サ-ストン分類 / トポロジー / くりこみ群 / 非一様宇宙 / 位相欠陥 / ドメインウオール |
研究概要 |
1)一様でコンパクトな宇宙のダイナミックス 一様な宇宙のビアンキ分類は教科書的な事項であるが、これまでは空間の局所的な性質にのみ着目して分類をしていた。私は当時大学院学生で現在慶応大学理工学部助手の古池君と、現在学術振興会特別研究員の谷口両君とともに一様でコンパクトな宇宙の大域的分類を行い、その力学を明らかにした。その方法としてサ-ストンによる3次元幾何学を若干一般化したものを用い、3次元双曲空間以外について完全に分類しきった。力学的自由度を局所曲率に関するものと、大域的なタイヒミュラー変形の自由度にわけて考え、すべて数え上げた。コンパクトな宇宙の時間発展を記述するために、さらに条件をつけ加える必要があることが分り、タイヒミュラーパラメタの時間発展をアインシュタイン方程式の解を用いて表すことに成功した。 最後に、一様姓を保持する変換により基本領域を、固定されたタイヒミュラーパラメターを持つ基本領域にマップすることにより力学的自由度を全て計量に含ませることができた。これにより局所曲率と、大域的なタイヒミュラー変形の自由度の両方を記述するハミルトン形式が可能になった。 2)ブラックホールの量子力学 江戸川大学の小田一郎氏と協力して、(3+1)次元ブラックホールの中を量子化するというミニスーパースペースモデルをうまく作り、ウィーラードウィット方程式を立てて、量子ブラックホールをモデル化することができた。その解に対して、一般化されたアフィン長を計算して同様の結果を得た。同じ方法で、コ-シ-地平を調べて、量子力学的な「宇宙検閲仮説」を検証しようと試みた。 3)宇宙論に於ける繰り込み群 学振研究員の井口修君と慶応大学の古池達彦氏と共同で、宇宙論の基礎方程式であるアインシュタイン方程式へ宇宙論に繰り込み群の方程式を応用した一様等方宇宙で物質が完全流体の場合と球対称非一様宇宙てしかも物質が圧力のない流体の場合について、繰り込み群の固定点及び固定点近傍の振舞いが調べた。繰り込み群を宇宙論に応用することはいく人かの人達によって提唱されているが、繰り込み群の方程式を明白な形で書き下して、その固定点の近傍の流れを調べたのは著者たちが最初である。 石原: 1)中村氏、石橋氏達と協力して宇宙のトポロジカルな欠陥であるドメインウオールの力学を調べた。特に球対称の模型でドメインウオールの運動の力学的な自由度は重力波の自由度に吸収されると言う結果を得た。同様の結論は以前石原達が面対称の倍に得ているのでこれとあわせると南部後藤型のドメインウオールには独立な力学的自由度はないと思われる。
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