位相的に自明でない曲がった空間における量子論は、平らな空間における量子論と異なって一意的でなく、いくつかの同値でない量子化が可能であり、その量子化は誘起されるゲージ場によって特徴づけられる。平成9年度に、位相的に非自明な3次元球面上の量子論で誘起されるゲージ構造がmeron解のそれであることを示した。それを受けて、平成10年度は、このゲージ構造が3+1次元シグマ模型のソリトン解である所のスカームモデルのゼロモードの量子論に現れることに着目して、この解の非同値量子化の可能性を研究した。その結果、スカームモデルの量子化は一意的ではなく、いくつかの非同値な量子化(1.ゲージ場が誘起されない場合、2.moron解のゲージ場が誘起される場合、3.zero sizeinstantonのゲージ場が誘起される場合)が可能であること、それぞれの非同値な量子化において、重粒子のassignmentが異なり、したがって物理量に対する予言値が異なることを示した。しかし、これらの非同値な量子化を考慮に入れても、スカームモデルの持つ困難は解決されないことも明らかになった。量子力学の範囲でこれを解決するには、非同値量子化を行う多様態そのものを再考する必要があると思われる。現在その問題に取り組んでいる所である。 また、負次元ゲージ群に基づいた双対性の研究では、N=1超対称SO(2N)、SP(2N)ゲージ理論におけるdua;ityの関連を確立させたことに引き続き、負次元ゲージ群と超対称性との関連についての研究を行っている。
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