研究概要 |
入射粒子分解反応により多くの不安定核の研究が可能となったなかで、^<11>Beは興味ある原子核の1つである。それは大変大きな相互作用半径を持ち、1個の中性子からなるハローを持つと考えられている。しかし、実験的な情報は少なく、多様な方法で知見を得るための努力が続けられている。本研究では^<10>Be(d,p)^<11>Be反応を用いて1核子移行反応により移行角運動量と終状態のスピン・パリティを決定することを試みた。^<10>Beターゲットについてはプラチナ箔にBeOを電着したものを用いた。(d,p)反応により生成された不安定核が放出されるγ線とβ線の測定から、励起エネルギーと寿命を調べて^<11>Beの生成を確認した。また後方陽子散乱を用いてプラチナ箔表面に電着された酸化物の不純物を調べ、C,OがBeに比べて2桁程度多いことが分かった。従ってこのターゲットを用いて(d,p)の放出陽子の偏極分解能等を調べることは困難であることが分かった。偏極重陽子ビームの加速には京大タンデム加速器に設置されている原子線型偏極負イオン源を用いる。ターゲットの開発と平行して偏極イオン源の開発改良を行った、解離器ノズルの冷却、弱磁場RF遷移部の改良、ECRイオン化部及び荷電変換部の改造等により数十nAの偏極陽子ビームを安定に生成できた。ウィーンフィルター等のスピンを制御する装置の設置により重陽子ビームについても偏極測定が可能となる。セルフサポート又はサポート箔が極薄い^<10>Beターゲットの開発が今後の課題である。
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