自然界における4種類の基本相互作用:強い力、弱い力、電磁気力及び重力ならびにすべての素粒子を統一して書きあらわす統一理論の最有力候補は超弦理論である。この理論を完成させ素粒子の性質ばかりでなく宇宙の誕生を探求することは物理学における最も興味のある課題である。この超弦理論は近年摂動論をこえて非摂動的に構成する方法が大きく進展した。なかでもD膜というソリトン的な励起をもとにした定式化や、双対制を利用した方法などが重要となりM理論というマスター理論の探求が行われてきた。 しかしながら、これら非摂動理論は未だ弦の生成消滅を記述する方法を備えておらず、従って第2量子化された弦の場の理論をつくるに至っていない。そこで二宮はHolger B.Nielsen(デンマーク、ニールス・ボーア研究所)と共同で弦の座標の右向きモードと左向きモードを基本構成要素にとって弦の場の理論を構成する研究を行ってきた。第2量子化に際してボース統計に対応する新しい対称性が必要なことが判明し、この対称性を応用して、状態を構成した。今後は散乱振巾の双対性のチェックなどに進む予定である。 この弦の場の理論の発展に際し、ボソンの負エネルギーモードをフェルミオンのそれと同様に扱うDiracの海の方法を見出した。これは粒子に対する場の理論における永年の問題に対して答を与えるものと考えられる。 重力の量子論においては2次元時空近傍の2+ε次元において統計力学的場の理論とくりこみ群の方法を用いて量子重力の距離(高エネルギー)の性質をくわしく研究し、スケーリング則や臨界指数などの力学量の算出を行った。
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