研究概要 |
Higgs粒子のgauge粒子対への崩壊過程に対する輻射補正の計算を、two-Higgs doublet model(THDM)の範囲内で完成させた。輻射補正を通じて重い未知の素粒子の情報を得ることは困難であることが分かった。我々の結果は、いわゆるscreening theoremの一般化と見なせる。この成果に関連して、THDMでのgaugeボソンの弾性散乱に対する輻射補正の計算も遂行した。bottom quarkの崩壊、b→sl^+l^-,b→sνν^^-というプロセスをminimal supergravity model,multi-Higgs doublet modelで評価した。supergravity modelではb→sl^+l^-の分岐比は最大50%ほど標準模型よりも大きくなり、b→sνν^^-については10%程度であることが分かった。Super-Kamiokandeでのデータがlepton-flavorの保存則を大きく破ることを示唆していることから、加速器実験でそのようなシグナルを得る可能性を探求した。具体的にはμ^+μ^-(e^+e^-)→τμ+4jets+missing-energy,及びμ^+μ^-(e^+e^-)→τμl+2jets+missing energyという反応を数値的に調べた。標準理論を越えるアプローチを探る意味を込めて、場の量子論や超弦理論の様々な側面の研究もおこなった。場の量子論的な研究としては、Seiberg-Witten理論に現れる共形対称性を実現する点付近でのくりこみ群の流れの研究、三次元のAdS-重力に現れる漸近的な共形対称性の導出、三次元ブラックホールのエントロピーの共形場理論を用いた導出等々である。また弦理論の研究としては、N=2の超対称性を持ったQCDをM-理論の立場から追究したこと、D5-braneの第二量子化、D2-braneの電荷の定義に関連して、Hanany-Witten効果の研究等々を含む。
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