開いた宇宙を与えるインフレーションシナリオ(ワンバブル・オープンインフレーション)を提唱し、そこにおいて現れる新たなモード(超曲率揺らぎ)と重力波モードとの関係を明らかにした。 次に、1成分スカラー場モデルに関して、偽の真空崩壊後に現れる時空の揺らぎも含めた量子揺らぎを評価する方法を定式化し、スカラー場の自由度(スカラーモード)と重力場の自由度(テンソルモード)を分離したゲージ不変な方程式を導出した。特にテンソルモードの関しては、その揺らぎのスペクトルの一般的性質を明らかにした。 さらに、オープンインフレーションモデルを実現する具体的モデルのクラスを明らかにし、それらのモデルに基づいて揺らぎのスペクトルの持つ特徴を解析した。その結果、 1.スカラーモードの振幅が長波長で通常のインフレーションモデルよりも急激に減少する。 2.しかしテンソルモードは長波長で逆に増幅される。 3.そのため得られる宇宙背景輻射の大角度揺らぎのスペクトルがほぼスケール不変になる。 4.また銀河スケールの密度揺らぎのスペクトルに緩やかなピークが現れる。 を発見し、近い将来の観測によってテスト可能なモデルの特徴を明確にした。
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