我々の計画に対して超伝導微粒子を用いた粒子検出器の開発研究を行っているパリ大学のGeorge Waysand、リスボン大学のTom Gerardらのレヴュ-を受け議論した結果 1.ボロメーター方式は断熱空間が不可欠で、スーパーサーマル法で液体ヘリウム中に生成された超冷中性子の検出には超伝導微粒子方式が適している。多数の粒の表面積を大きくするには小さい粒の方が良いが、一個一個の粒の検出が難しくなるので、粒径をを50ミクロンに決めた。 我々も粒を用意しているが、不足すれば彼等からも提供してくれることになった。検出器の形状は当初計画では平板形を考えていたが、信号のS/Nを上げる為には円筒形にすべきと指摘を受け、円筒形に変更した。またスーパーサーマル法で超冷中性子の生成を研究している呉大学の吉城肇、タービン法で超冷中性子の生成を研究している東京大学原子炉実験所の宇津呂雄彦、超冷中性子の検出器の研究をしている東北学院大学の北垣敏男らとの議論及びInternational Workshop on JHF Science(JHF98 於KEK)に出席し得た情報等を総合的に考えて以下の実験の方針を決めた。 2.中性子との反応物質として6Li化合物、3He(気体、液体)の実験を行う。最初に6Li化合物を試みる。 3.中性子の減速材としては液体ヘリウム中に置かれたポリエチレン、重水の実験を行う。当面はポリエチレンを試みる。 4.中性子源は252Cfしかなく、その強度が弱い為観察時間で稼ぐしか方法がない。またポリエチレン、重水を減速材としても超冷中性子を生成するのは難しいが、最悪でも冷中性子なら生成できる。冷中性子の検出に成功すれば、超冷中性子の反応断面積は冷中性子より大きいので超冷中性子の検出ができることになる。 5.実験に必要な機器、減速材などは用意でき、低温装置関係はほぼ組み上がっている。得られた信号をデジタルオシロスコープ(本年度購入)で受け、パソコンで処理するソフトの開発が出来次第順次実験を行う予定である。
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