最終年度で約1年にわたり実験を行った。 その結果中性子の測定数が日にちの経過と共に穏やかに減少して行くことが判明した。この原因は錫球の周辺にある^6Li化合物が長期間の間にバックグランドの中性子と反応した結果錫球周辺部の^6Li化合物の減少によるものと推定される。 中性子源の有るとき、無いときで観測された転移数の平均値の差は3時間で4である。観測数値に変動が有り、得られた平均値の差4という数値は小さいが、我々としては低温の環境で中性子を検出出来たと考えている。超伝導微粒子を用いた粒子検出器の開発研究を行っているパリ大学のGeorge Waysand、リスボン大学のTom Girardらは我々の測定結果を評価している。2000年6月の"PARTICLE DETECTION&METASTABLE SUPERCONDUCTIVITY"(http://alf1.cii.fc.ul.pt/cryo)で発表するよう勧められている。 今後中性子を確実に検出できたと主張できる程度の統計量を得る為に、現有の線源よりも1桁強い線源を用いて再度測定を行い、低温環境下での中性子の検出を確立したい。我々の実験結果を当てはめれば、線源の有無の差が40前後になると期待できる。
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