今年度の本研究では、素粒子理論の大きな問題であるゲージ階層性問題の解として高次元のゲージ理論についての研究を行った。まず簡単な模型として5次元QEDを用いてHiggs質量(の二乗)を計算し、期待通り2次発散の問題が解決される事を確かめた。更に発散の相殺の後の残る有限質量が場の境界条件に強く依存する事、その境界条件をAharonov-Bohm効果の帰結と見なすことによって、有効ポテンシャルの最小化から境界条件がダイナミカルに決定される事を示した。更に、Aharonov-Bohm効果の存在しない2次元球面をコンパクト空間として持つ時空では有限のHiggs質量さえも消える事も示し、現在論文にまとめている。 また関連する分野として、quaternionicな質量行列におけるCPの破れをえ議論して学術雑誌にこの論文が掲載された。
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