研究概要 |
今年度は、いわゆるLarge Extra Dimension の素粒子物理に与える影響につき研究した。特に、Extra Dimension の境界条件によって超対称性が壊れる事が知られているが、この境界条件を手で与えるのではなく力学的に(dynamicalに)決める可能性について考察した。結果的には、超対称性のために境界条件は一意的に決まらない、というnegativeな結果となり、論文は作成しなかったが、今後の研究に役立つ知見が得られ有用であった。 この他に、関連する以下の2つの研究につき論文を公表した: (1)大統一理論におけるレプトンフレーバーの破れ 通常のおよび超対称性を持ったSU(5)大統一理論におけるレプトンフレーバーの破れを議論した。世界的に注目を集めたBarbieri-Hallの結果とは矛盾する結果が得られ、またその違いの起源を議論した(Lepton-Flavour Violation in Ordinary and Supersymmetric Grand Unified Theories,Journ.of the Phys.Soc.of Japan,Vol 69,No.2(2000)369-372)。 (2)重い粒子の寄与に関する実効作用によるアプローチとWilsonian繰り込み 高次元理論や超対称理論といった「新しい物理」の理論で現れる重い粒子の低エネルギーの世界への寄与を実効理論で記述する方法を考案した。Wilsonian繰り込みを用いることによって有限の数の演算子のみを持った閉じた形の実効理論が得られる事を示した。実効理論を求めるシステマティックな方法を提供できた(Effective Action Approach to Heavy Particle Contributions and Wilsonian Renormalization,Progr.Theor.Phys.,Vol 103,No.4(2000))。
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