本年度は前年度に開発試作した二次元位置分解能の優れた、高耐圧、耐放射線損傷の二重金属層・両面読み出しシリコンストリップ検出器の実用に向けたさらなる改良とラダー(測定器として働く最小の単位)の製作、テストをした。 最新の衝突型加速器ではビームの衝突時間間隔が25ナノ秒から100ナノ秒あまりと大変短い。この時間はシリコン検出器の担体のドリフト時間と同程度である。これらの衝突型加速器における実験で使用するに十分速く、しかも電荷収集効率の高いシリコン検出器をシミュレーションを用いて設計した。また加速器のもたらす強い放射線による検出器の変化に合わせた最適な作動条件を示した。研究成果はドイツ、シュロスエルモに於ける国際会議で発表した。 我々が開発してきた二重金属層・両面読み出しシリコンストリップ検出器を、組み合わせ、読み出し用フロントエンドエレクトロニクスを乗せ、ラダーを製作し動作確認をした。ラダー製作にあたっては、シリコン検出器の二次元位置分解能にみあう機械的精度で組み立てるために精密な治具を開発した。この製作とテストは米国フェルミ研究所CDF実験グループと協力して行った。
|