研究概要 |
1995年1996年を通じて開発をすすめてきた電荷-電圧変換回路(QAC)のフルカスタムICチップの試作をSdM社(オランダ)に発託し,30個のIC試作品を得た。このうち15個を日本(KEK,宮崎)で残りの15個をロシア・高エネルギー物理研究所で夫々性能検査を行うことにした。試作チップの歩留りは50%であり、第一次試作としては非常に高い成功率のものである。本研究による性能評価は既存の試験用い,入手容易なADC、MAX162を用いて先ず行った。試作ICチップにはQACの感度が×1のものと×4のもの2回路が独立に内蔵されている。夫々において次の性能が試験確認された。変換時間はいづれの場合も2μsecである。 出力 入力(PC) 出力範囲(カウント) 誤差(カウント) 直線性(ビット) 1倍感度(×1) 50-1200 300-2600 ±2 10.1 4倍感度(×4) 0-170 0-1700 ±1 9.7 この性能は当初の設計目標;入力0-800pc,直線性10ビット,変換時間3μsecをすべて超えて達成している。変換時間は更に1μsec以下にまで短縮できることが見込まれている。直線性についてはADCを迸定することにより,又専用試験基盤の整備によりノイズの軽減を計り,更によい値を得る見込みである。本研究にかかわる成果は昨年物理学会秋季年会(9/22,22pH)で報告した。又COMPASS国際共同研究会議で報告し(1/19-20,ジュネ-ブ)高い評価を得、更に高性能化を目指して,第二段階の開発研究に入ることにした。これ迄の研究成果は宮崎大学工学部紀要27号(1998年,印刷中)に報告している。現在新しい試験評価基盤により,変性能ADCの迸定(NS-AD12062)の上で,より高精度の性能評価を行っている。又第二段階の開発研究に着手した。これらはいづれも平成10年度の研究に引継がれるものである。この研究は宮崎大学大学院生の参加を得ていることを附記する。
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