本研究では、ハワイ島のマウナケア山に建設されているスバル光学赤外線望遠鏡を数10GeV領域のγ線検出のためのチェレンコフ望遠鏡として応用するために、オーストラリアでのTeVγ線観測で成果を挙げているCANGAROOの解像型チェレンコフ望遠鏡で用いられている複数の光電子増倍管からなるチェレンコフ光検出カメラの技法をもとにして、スバル望遠鏡の主焦点に取り付けるチェレンコフ光カメラの最適な形状について、シミュレーションデータを用いてカメラ素子となる光電子増倍管の寸法および配置などを決定した。このようにして決定されたカメラは28mm径の光電子増倍管120本からなる。このうち44本を平成9年度の予算で購入し、残りの光電子増倍管は他の予算でまかなう予定である。この光電子増倍管は受光面が円形であり、複数の素子を並べたときに素子間に不感領域が生じてしまうため、この不感領域の光子を受光面にあつめるための集光器が不可欠になる。このためカメラ前面に取り付ける集光器の設計も行なった。CANGAROOでも次期7m望遠鏡のための集光器を大量生産するための金型を製作中であるが、本研究でも金型を製作するか、個々の集光器を削り出しによって成形するかは検討中である。スバル望遠鏡の完成予定は建設現場の火災などもあって遅れているが、本研究でチェレンコフ光カメラの製作を進めるとともに、データ収集システムの準備も並行して行なっている。
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