今年度の実績は以下のようである。 (1)動的ゲージ粒子と繰り込み群を関連させた「Strong Coupling Unification」は、他にもいろいろな仕事がでてきたが、今年度は湯川相互作用常数の階層性に着目して、Extra Dimensionともリンクさせて1つの可能性を提唱し(論文1)物理に現れるYukawa couplingの階層性をgauge couplingと結びつけて、Infrared Stable Point構造として説明する事に成功した。またExtra Dimensionは大きな注目を集めているが理論上の不備もある。その1つとしてbrane fluctuationの効果が理論上重要であることを示した(論文2)。 (2)ニュートリノ振動がスーパーカミオカンデの実験によって確立し、これを含めた統一理論の可能性が追求されはじめたが、我々は、これを基本的な構造と結びつけて理解しようとした(論文3)。また、動的ゲージ粒子を含む模型の提唱したが、漸近非自由性な標準理論のなかで、ニュートリノの大きな混合角はこの余分な物質場から来ている可能性があるのでこれを検討した(論文4) (3)弦理論では理論の無矛盾性から10次元理論が基礎になっていたが、低エネルギーの世界にも、Extra Dimensionの存在を示す現象があるかも知れないという可能性がでてきた。動的ゲージ理論の起源と超重力理論を基礎にした大統一理論を構築する目的に少し近づいたようである。
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