研究課題
基盤研究(C)
線形加速器でマルチバンチビームを加速するとき、ビームのエネルギー分布はビーム・ロ-ディングの結果10%ぐらいまで拡がる。これを補正する方法の一つとしてこれまでにATF(加速器試験装置)で行われた±ΔF方式は、線形加速器の一部に補正セクションを分布させて配置するものであるが、電荷量に対してフレキシブルで、かつ高い安定度が得られることが実証された。本研究目的はSELD-1を用いた位相変調方式によるマルチバンチビームのエネルギー補正方法で、2台のクライストロンから出力されるそれぞれのRFの位相を変化させながら合成して、SLED-1でパルス圧縮したのち加速管に供給する。この方式では加速管の中で加速と補正を同時に行うので、加速器すべての場所において通過するマルチバンチのエネルギー幅は0.05%以下に補正される。次世代リニアコライダーでは線形加速器でのビームエミッタンスの増大をできるだけ抑制しなければならない。この方式ではエネルギー補正されたマルチバンチがすべての収束系を通過するので、エミッタンス増加を抑制できる収束系の設計が容易となる。リニアコライダーの主線形加速器におけるマルチバンチビームエネルギー補正方法として最有力候補の一つである。平成9年度は位相変調用回路の設計および全体設計を行ったのちに、合成のための3cB結合器の設計製作を行いハイパワー試験を行った。平成10年度にはRF位相器等回路の高速化をはかりマルチバンチビームを加速してそのエネルギー補正の実験を行う。
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