研究課題/領域番号 |
09640379
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研究機関 | 高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
竹田 誠之 高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教授 (40029898)
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研究分担者 |
中村 正吾 横浜国立大学, 工学部, 助教授 (50212098)
久保 浄 高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助手 (60195485)
早野 仁司 高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助手 (00173055)
生出 勝宣 高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (50150008)
浦川 順治 高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教授 (00160333)
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キーワード | リニアコライダー / マルチバンチビーム / エネルギー補正 / 位相変調 / 振幅変調 / OF / ATF / エミッタンス増大 |
研究概要 |
現在、次世代リニアコライダーのためのマルチバンチビームエネルギー差補正方法に関する開発研究が高エネルギー加速器研究機構内のATF(Accelerator Test Facility)において行われている。これまでに、ΔF方式と呼ばれるエネルギー補正システムの実証実験が、ATFリニアックにおいて実際にマルチバンチビームを用いて行われた。本研究では、このΔF方式に加え、最近特に有望視されている位相変調方式について開発研究を行った。この方式は2本のクライストロン出力の高周波(RF)を合成し、かつ位相変調を行うものである。これにより、加速管に供給されるRFは振幅変調され、マルチバンチエネルギー補正が可能となる。このエネルギー補正方法は各加速管でマルチバンチビームのエネルギー差を補正できるため、dispersionやchromaticな効果から生じるエミッタンス増大をΔF方式に比べ抑えることが可能である。そのため、リニアコライダーの低エネルギーリニアックおよび主リニアックでは、この位相変調方式がマルチパンチエネルギー補正方法として採用される可能性が高い。 本研究では、平成10年度6月にATFのSバンドリニアック上流部において、2本のクライストロン出力を合成するために導波管構成を組み変え、その下流にビームエネルギー診断部を設置し実験を行った。ビーム実験では、RFの位相変調する速度を変化させ、その時のマルチバンチビーム(20バンチ)のエネルギー分布をビーム位置モニターを使い測定した。そして、この測定と計算から求まる位相変調方式によるエネルギー補正の効果は、ほぼ一致する結果が得られた。本ビーム実験が、2本のクライストロンを合成して行った世界で最初の実際にマルチバンチビームを用いた、位相変調方式によるエネルギー補正の実証実験であった。
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