本年度はミュー粒子のレプトンフレーバーを破る過程のうち、特にμ^+→e^+e^+e^-過程におけるT不変性の破れに関する研究を行なった。 μ^+→e^+γや原子中のμ-e変換は標準模型を超える物理の探索にとって重要である。最近超対称大統一理論では、これらの過程は現在の実験と同程度に大きくなり得ることが指摘されて注目をあつめている。ここでは、これらとともに重要なμ^+→e^+e^+e^-過程により超対称模型に関してどのようなことがわかるかを調べた。特に偏極したミュー粒子を使うことにより、T及びCP不変性の破れを測ることができることに注目し具体的なSU(5)超対称大統一理論でT不変性の破れを示す非対称性を計算した。その結果最大20%程度の非対称性が期待できることがわかった。将来μ^+→e^+e^+e^-でレプトンフレーバーの破れが見つかった場合、この非対称性を測ることは、超対称性の破れのパラメーターのCP不変性の性質を解明するのに役立つといえる。
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