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1998 年度 実績報告書

半導体吸着制御表面における素励起

研究課題

研究課題/領域番号 09640386
研究機関岩手大学

研究代表者

稲岡 毅  岩手大学, 工学部, 助教授 (40184709)

キーワード半導体表面 / 吸着 / キャリア涸渇層 / キャリア蓄積層 / 表面素励起 / 表面プラズモン / 表面光学フォノン / 誘電応答
研究概要

ドープした半導体の表面バンド構造は吸着に敏感であり,吸着の被覆度の増加とともに表面でバンドが湾曲し,キャリア涸渇層あるいは蓄積層が形成されていく例がいくつか知られている。本研究の目的は,キャリア涸渇層あるいは蓄積層が形成されていく過程における表面素励起の変化を定量的に追跡することである。
次年度はまず、キャリア蓄積層の形成過程におけるキャリア系の熱平衡状態を計算した。たとえ室温であっても、縮退度の良い擬2次元電子系が次第に形成されていく過程が明らかになった。
次に、初年度に行った熱平衡状態の計算結果を用いて、キャリア涸渇層形成過程における表面素励起の変化を調べた。多電子系の誘電応答理論を用いて表面の動的応答を計算し、キャリア系による表面プラズモンと表面極性フォノンが結合して生ずる2つの結合モードとキャリア系に起因する遮蔽電荷を伴う表面極性フォノンモードのエネルギー、空間構造、エネルギー損失強度などを調べた。誘電媒質であるキャリア涸渇層が厚くなると、エネルギーの高い方の結合モードのエネルギーが顕著に下がる。また、涸渇層が厚くなると誘起電荷密度分布が著しく変化し、結合モードにおいては、結晶内部に尾状に伸びる誘起電荷密度の緩やかな減衰が消失していく。一方、上記の表面極性フォノンモードにおいては、キャリア涸渇層が厚くなると、キャリア系によるフォノンへの遮蔽効果が弱くなり、エネルギー損失強度が著しく増大する。さらに、誘起電荷密度分布をキャリア密度の揺らぎによる成分、フォノン縦分極による成分、及び基盤分極とフォノン分極が表面で終端することによる成分に分解して、位相関係、寄与の大きさを解析し、キャリア涸渇層の厚さに依存しない一般的特徴と厚さに依存する特徴を明確にした。なお、多数の波数に対する計算結果を要するエネルギー分散などについては、まだ計算が進行中である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Takeshi INAOKA: "Microscopic Structure of Dipolar Surface Plasmons in Spherical Small Particles in a Broad Size Range" Journal of the Physical Society of Japan. 66・12. 3908-3921 (1997)

  • [文献書誌] Takeshi INAOKA: "Evolution of Electron States at Doped Semiconductor Surfaces in a Depletion-Layer Formation Process" Surface Science. (発表予定). (1999)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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