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1998 年度 実績報告書

結晶表面のメゾスコピック・パターン形成

研究課題

研究課題/領域番号 09640392
研究機関名古屋大学

研究代表者

上羽 牧夫  名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30183213)

キーワードステップ / 形態形成 / 結晶成長 / ステップの蛇行 / ステップ・バンチング / ファセット / 非線形発展方程式
研究概要

微斜面上のステップのパターン形成の問題,およびファセット状の島状構造の平衡への緩和過程を研究した.前者では結晶の成長や昇華にともなうステップの蛇行(ステップに沿ったゆらぎに対する不安定化)や,パンチング(等間隔ステップ列での疎密の形成による不安定化)の問題を97年度にひきつづき研究した.関連した拡散場中でのパターン形成の例として2次元での電析の実験も行っている.その結果,以下の知見が得られた.
1. ステップの蛇行については,ステップに沿った方向の反転に対し系が対称でない場合,臨界点付近の運動は奇数階の微分をふくむ微分方程式で記述できる.対称性を破るものとして,スティフネスの異方性ではカオス的な運動を押さえ切れないが,ステップ・カイネテイクスに異方性があればBenney方程式で記述できるようになり,カオスが抑制されて安定な周期構造が期待できる。
2. Si(111)面での実験で見られる表面吸着原子のドリフトによるバンチングに対応して,保存系での1次元モデルのシミュレーションと理論的解析からステップの束の大きさが時間の1/2乗に比例して大きくなることを見出した.高温の実験で蒸発の効果の無視できないときも同じ幕が見られているが,シミュレーションでもドリフトが大きければこの幕はあまり変わらない.ドリフトが小さい場合には幕の値は減少し,束の成長は長く続かずに周期的に並んだステップ束が現れる.この様子は,以前調べた不安定点の近くでのBenney方程式で記述される系の振る舞いに対応してる:
3. ファセット上の同心円状のステップからなる島が,表面拡散による原子の流出によって消滅していく過程を調べた.理論的に予想していた頂点部分にできるファセットの成長則をシミュレーションで確認した.またステップ間斥力を導入することによって台地状の構造が安定に存在することを発見し,その理論的な解釈を与えた.これは最近の実験結果とも符合する.

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] M.Sato: "Control of Chaotic Wandering of an Isolated Step by the Drift of Adatoms" Physical Review Letters. 80・19. 4233-4236 (1998)

  • [文献書誌] M.Uwaha: "Wandering and Bunching Instabilities of Steps Described by Nonlinear Evolution Equations" Surface Review and Letters. 5・3. 841-849 (1998)

  • [文献書誌] M.Sato: "Hierarchical Bunching of Steps in a Conserved System" Journal of Physical Society of Japan. 67・11. 3675-3678 (1998)

  • [文献書誌] 上羽牧夫: "原子ステップによるメゾスコピックパターン形成" 日本物理学会誌. 53・9. 673-680 (1998)

  • [文献書誌] M.Sato: "Change of Wandering Pattern with the Anisotropy in Step Kinetics" Journal of Crystal Growth,. (to be published). (1999)

  • [文献書誌] 佐藤正英: "平面界面の不安定化への結晶の異方性の効果" 日本結晶成長学会誌. 26・1(印刷中). (1999)

  • [文献書誌] M.Uwaha: "Step Bunching Induced by Drift in Conserved and Nonconserved Systems" Proceesdings of the Third EWSSW'99 & 3S99-Thin Films and Phase Transitions on Sur-faces, (to be published),

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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