研究課題/領域番号 |
09640396
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
石原 一 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (60273611)
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研究分担者 |
安食 博志 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (60283735)
張 紀久夫 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (60013489)
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キーワード | 非線形光学 / パルス応答 / 励起子 / ポラリトン / 超高速応答 / ナノスケール物質 / 薄膜 |
研究概要 |
本年度は、これまで開発してきた超短パルス応答の計算方法について以下の拡張、及び改良を試みた。 1.背景の誘電率の効果を光のグリーン関数に取り込むことにより、共鳴だけでなく非共鳴準位からの寄与も取り入れる。2.試料サイズが大きくなってきたときの高エネルギー励起準位の寄与を無視する近似的取り扱いにより計算時間の大幅短縮を図る。3.回転波近似を取り入れることにより、密度行列の運動方程式をゆっくりと運動する成分だけの方程式に書き換え、計算精度を向上させる。 これらの方法を取り入れた場合の計算をCuCl薄膜をモデルにして行った結果、 1については、薄膜の場合において背景の誘導率が正しく取り入れられた計算が可能になり、実験との比較可能な量を計算できるようになった。2、3については、これまで出来なかった、内部電場の共鳴増大が大きく現れる程度の厚い膜厚までの計算が良い近似で可能であることが分かり、パルス応答に対する内部電場のナノスケールの空間分布の影響を議論する準備が整った。 またこれらの検討の過程で以下のことを確認した。 A.応答場と物質系の運動をセルフコンシステントに計算した場合に取り込まれるはずの励起と輻射幅が確かに計算できており、それのサイズ依存性も定常状態の研究において調べられている場合とコンシステントな結果が得られた。B.内部電波の空間分布がない場合には現れないはずの、輻射場と「薄膜中で閉じ込められた励起子の重心運動の波動関数が奇関数の状態」の結合が巨大化していることを示す信号が得られ、パルス応答においても内部電場のナノスケールの空間分布の影響が重要であることが明らかになった。
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