1. 短波長発光:(1)GaAs/GaInP単一へテロ界面構造でGaInPの秩序化度の異なる試料、(2)GaAs/部分的秩序構造GaInP量子井戸で界面に薄いGaP層挿入の有無で構造が異なる試料について、783、682、633nmの励起光波長でスペクトルを測定した。波長783nm(1.58eV)で励起の場合、(1)ではMOVPE成長温度700℃の単一へテロ界面の試料で1.86eVと1.91eVに明確な2つのピークを持つ短波長発光を、また(2)ではGaAs井戸層の上部界面にGaP層を挿入した試料で1.89eVにピークを持つ短波長発光を得た。波長488nm(2.54eV)で励起した通常のPLスペクトルにおけるGaInPからの発光ピークと比較すると、エネルギー領域はほぼ対応するがスペクトル形状は必ずしも一致しないことが明らかになった。オージェ過程や二光子吸収過程により励起された電子(あるいは正孔)がバンドギャップの大きなGaInP領域に拡散、再結合するモデルを検討した。 2. 深い発光:短波長発光の機構を解明する上で秩序構造GaInP/GaAs界面のバンド不連続の情報は重要である。(2)の試料についてGaAsバンドギャップ以下のエネルギー(〜1.46eV)で界面が関係する強い発光を測定した。時間分解スペクトルとその圧力依存性、またGaInP層は励起することなくGaAs層のみを励起する波長682nm、783nm.での測定を行った。そして部分的秩序構造GaInP層とGaAs層の界面がType-IIバンド不連続で、界面を挟んで局在化した電子-正孔の空間的間接遷移の可能性があることを示唆する結果を得た。
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