研究課題/領域番号 |
09640398
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
秋重 幸邦 島根大学, 教育学部, 助教授 (50159331)
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研究分担者 |
神志那 良雄 島根大学, 教育学部, 教授 (60030772)
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キーワード | チタン酸バリウム / 金属・絶縁体転移 / 構造相転移 / 電気抵抗 / 低温・高圧物性 / ラマン散乱 / 酸化物強誘電体 / ソフトモード |
研究概要 |
立方晶、六方晶両チタン酸バリウム(BaTiO_3)に電子をドープしたり、圧力を印加し、電子状態を変えることで起こる物性の変化について調べる目的で、極低温冷凍機を購入し、1GPa以下の圧力域、10-300Kの温度域で、電気抵抗測定を行った。1GPa-8GPaの圧力域については物性研の高圧発生装置を利用し測定した。水素ガス中、1300℃、4時間還元した立方晶BaTiO_<3-δ>の電気抵抗の温度依存は、1atmでは、280K付近の正方晶-斜方晶転移、200K付近の斜方晶-菱面体転移で大きな電気抵抗の飛びが見られる。圧力の増加に伴い、各転移温度は低下すると共にブロードになっていく。6.5GPa以上の圧力では、立方晶-正方晶転移も消失し、全温度域で金属的な温度依存をするようになる。六方晶BaTiO_<3-δ>でも、2.3GPa以上の圧力になると、六方晶-斜方晶転移温度は消失し、全温度域で金属的になる。高圧金属相での電気抵抗の温度依存は、立方晶、六方晶BaTiO_<3-δ>共に、100K以下ではT^2則が、100Kから300KではT^3則がほぼ成り立っている。この関係はSrTiO_<3-δ>において始めて見いだされ、T^2則についてはイオン化した不純物による散乱で、T^3則はLOフォノンによる散乱といわれているが、T^2則の起源については強相関電子系特有の現象としても理解でき、今後の研究で明らかにしていく必要がある。次に、電子ドープによる格子振動の変化を調べる目的で、酸素欠損量の異なる六方晶BaTiO_<3-δ>試料についてラマン散乱実験を行い、六方晶-斜方晶転移温度T_0及びソフトモードの臨界指数βのδ依存求めた。臨界指数βは1/3(δ=0)から1/2(δ=0.02)へと、δの増大とともに増大する等の事実が明らかとなった。これらの結果は、第9回強誘電体国際会議(1997年8月、ソウル)で報告した。酸素欠損量の異なる試料の数を増やし、測定を続けている。
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