研究課題/領域番号 |
09640413
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
村山 茂幸 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (10157802)
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研究分担者 |
関根 ちひろ 室蘭工業大学, 工学部, 助手 (60261385)
高野 英明 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (70154804)
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キーワード | 重い電子系 / 反強磁性 / SDW / フェルミ面のネスティング / フェルミ液体 / 非フェルミ液体 |
研究概要 |
大きな磁気異方性を持つ常磁性の重い電子系CeRu_2Si_2のRuサイトをRhで置換したCe(Ru_<1-x>Rh_x)_2Si_2は0.05≦x≦0.3で遍歴電子型の反強磁性秩序が存在する。最近の中性子回折実験により、この磁気秩序はc軸方向にスピン偏極し、不整合なc軸方向の波数をもつサイン構造をしていることが明らかになった。 そこで、Ce(Ru_<1-x>Rh_x)_2Si_2,x=0.15の単結晶試料を用いて、電気抵抗、磁気抵抗、磁場中比熱、磁化率の測定を行い、ネ-ル温度T_N=5.5Kにおいて、フェルミ面がc軸方向に沿って部分的にギャップが開くことを確認した。また、低温極限でもフェルミ面上でギャップが開かず、依然として残留する重い電子は全体の約65%であることが判明した。以上の結果から、この系はT_Nにおいて、c軸に沿って重い電子のフェルミ面上にネスティングが発生し、フェルミ面の一部にギャップが開くことが初めて示唆された。従って、この系の反強磁性はフェルミ面のネスティングに伴うSDW(スピン密度波)であると結論づけられ、重い電子系の特異な基底状態の一端が明らかにされた。次に、SDW相と常磁性相との境界濃度であるx=0.03および0.4の単結晶試料において、電気抵抗、帯磁率の測定を行った。この結果、x=0.03においては低温でフェルミ液体的な温度依存性:帯磁率一定、電気抵抗∝T^2が観測さらた。一方、x=0.4においては非フェルミ液体的な温度依存性:帯磁率増大、電気抵抗∝Tが観測された。従って、この系のRh高濃度側x≧0.4において、非フェルミ液体相が存在する可能性のあることが判明した。
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