研究課題/領域番号 |
09640416
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
深瀬 哲郎 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (90005900)
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研究分担者 |
鈴木 栄男 東北大学, 金属材料研究所, COE研究員
佐々木 孝彦 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (20241565)
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キーワード | 酸化物高温超伝導体 / 磁気構造 / スピンフロップ / 1 / 8異常 |
研究概要 |
本研究の目的は超伝導転移温度の異常な低下と種々の物性異常が見られるLa_<2-x>Sr_xCuO_4のx〜1/8付近の組成における低温磁気構造を解明し、われわれが提唱しているスピンフロップを引き金にした磁場誘起相転移を検証し、さらにこの物質の磁気構造と電子状態の磁場による変化を明らかにすることである。 本年度は新たに以下の成果を得た。1)昨年度に行った中性子散乱実験によって見出された斜方晶La_<188>Sr_<1112>CuO_4における8倍周期の長周期反強磁性的磁気秩序について、La-NMR実験を行い共鳴線幅の解析から、転移温度T_N=40K、磁気モーメントμ_eは温度の低下とともに徐々に増大し、4.2Kでμ_e〜0.13μ_Bとなり、磁気秩序が結晶全体にわたりバルク状態で出現する確証を得た。2)超伝導混合状態における磁束格子の弾性定数を測定し、超伝導が結晶全体にわたりバルク状態で出現している確証を得た。したがって、La_<2-x>Sr_xCuO_4のx〜1/8付近の磁気秩序は結晶全体にわたり超伝導と共存する。3)Laの一部をYで置換し、低温正方晶を誘起したLa_<2-xy>Y_ySr_xCuO_4のLa-NMRによるスピンフロップの実験を行い、結晶構造とスピン構造の関係を検証した。すなわち、La系214化合物では、x〜0組成の単純反強磁性とx〜1/8における反強磁性的長周期磁気秩序相の両磁気秩序相で、斜方晶の低磁場では、a)スピンはCuO_68面体の回転軸と垂直でc面からのcantのある構造、高磁場では、b)回転軸と平衡でc面からのcantのある構造であり、低温正方晶相では、c)回転軸と平衡でc面からのcnatのない構造である。4)La_<L88>Sr_<1112>CuO_4の12Tの磁場下で、温度の低下とともにa→b→cの磁気転移をしさするLa-NMRスペクトルの変化を観測した。
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