増強核磁性体は核スピンが超微細結合を介してVan Vleck常磁性電子スピンと強く結合している系であり核ゼーマンエネルギーおよび核スピン相互作用が電子スピンの影響を受け増強される。したがって核オーダの温度はCuなどの通常金属核とくらべて1000倍以上高くなる。prIn_3は我々の比熱測定から0.14mKで増強核オーダーが観測された。そこで本究研究により PrIn_3の磁化、電気抵抗を詳しく調べた。 SQUIDを使ったac帯磁率、磁化を[111]方向で測定した。転移点T=0.14mKで帯磁率の発散がないこと 自発磁化が見られないことからPrIn_3は反強磁性であることがわかった。T_N以下で帯磁率が減少しないため測定したのは垂直帯磁率であると思われる。分子場近似によって可能なスピン配列は立方晶タイプ1反強磁性もしくはタイプ3反強磁性であり 困難軸は[111]方向であることが分かった。 SQUIDを使ったAC4端子法により単結晶の電気抵抗を測定した。電流の方向はほぼ[111]方向である。T_Nでは変化は見られなかった。しかし 約3mKに電気抵抗の極小が見られた。磁場下での抵抗測定からこの原因が磁性不純物によるものではないと考えられる。3mKより高温側での抵抗の上昇は現在のところ理由は分からないが温度領域からして電子スピンによるものと考えられる。3mK以下0.1mKまでゆるやかに抵抗が増加し0.1mK以下で抵抗値が飽和する。このような超低温での抵抗の異常は今回初めて観測された。PrIn_3のInの核四重極相互作用は非常に大きいため 四重極モーメントの伝導電子による散乱が観測できたと考えられる。 以上述べたように本研究では金属増強核オーダーではじめて異方性、スピン配列まで研究しさらに超低音での四重極モーメントの電気抵抗たいする寄与をはじめて研究した。
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