研究課題/領域番号 |
09640422
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
飯尾 勝矩 東京工業大学, 理学部, 教授 (20016132)
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研究分担者 |
光井 俊治 帝京大学, 薬学部, 助教授 (80112770)
加藤 徹也 東京工業大学, 理学部, 助手 (00224519)
田中 秀数 東京工業大学, 理学部, 助教授 (80188325)
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キーワード | 三角格子反強磁性体 / スピンフラストレーション / 誘電体 |
研究概要 |
スピン・フラストレーションが顕著に現れる六方晶ABX_3型三角格子系の磁性は、近年の磁性研究の主要な対象であった。我々は、フラストレーションの解消が相転移や臨界現象に如何なる修正を与えるかを明らかにするために、構造的転移に伴って磁性Bイオンの正三角形配列が変形し、フラストレーションが部分的に解消しているKNiCl_3型結晶群の磁気相転移と達成される磁気構造の検討を行い、誘電性と磁性に関わる新属性:反強磁性と強誘電性の共存・競合、磁気相転移誘起誘電異常などを見いだした。本研究では、これらを、より多くの同族結晶で系統的再確認し、さらに新しい物性の探索、並びに、その発現条件の解明を目指し、磁場や電場などの外場下で複数の物理量の測定を行って、格子系と磁気系双方の視点から、これらの現象の統一的整理を試みている。 本年度の具体的成果を以下にまとめる。 1.既に報告され謎となっていたRbMnBr_3の非整合スピン秩序構造の起源を、我々が見い出した低温における構造相転移と関連づけ、また、低温領域のX線構造解析から、低温相の構造についてzigzag-rowモデルのひずみ構造を提起して、非整合スピン秩序構造の謎を解明した。 2.KNiCl_3型反強磁性体で見られた強誘電性を伴う逐次構造相転移を示すの新しい仲間として、TlFeBr_3を見いだした。 3.既に報告しているxyスピン系のRbVBr_3だけでなくイジィングスピン系のRbCoBr_3おいても磁気相転移近傍で誘電異常が現れることを見いだした。これらのメカニズムを同定するため、磁場中での誘電測定や誘電率の周波数分散の精密実験を行った。 本研究に関する中間報告を1997年7月オーストラリアのケアンズで開催された磁性国際会議で行った。
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