研究課題/領域番号 |
09640423
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
伊藤 厚子 お茶の水女子大学, 人間文化研究科, 教授 (20017180)
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研究分担者 |
森本 せつ お茶の水女子大学, 理学部, 助手 (90017195)
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キーワード | FexMn1-xTiO3 / MxMg1-xTiO3(M=Mn,Fe) / FexCo1-xTiO3 / 磁化 / 交流帯磁率 / 中性子散乱 / 交換相互作用競合系 / 異方性競合系 |
研究概要 |
観測の時間尺度・空間尺度の異なるいくつかの測定手段で、の静的・動的性質の研究を行った。用いた手段は、磁化、交流帯磁率及び中性子散乱測定である。対象とした物質は、複雑な競合の内在するランダム磁性体で、大別すると次の2種類である。[A]交換相互作用競合系(スピングラス(SG)系),[B]異方性競合系。[A](1)FexMnl-xTiO3:1)零磁場冷却(ZFC)の条件で磁化過程の磁場掃引速度SWR依存性を調べたところ、SWRを大きくしていくとM_<ZFC>が磁場中冷却の磁化M_<FC>の異常なとびを示すことを見い出した。SG系の多谷階層構造モデルを支持する有力な結果である。2)交流帯磁率の実数部χ'と虚数部χ"の温度変化の直流バイアス磁場Hdc依存性を調べた。SG凍結温度以下で交流磁場に追従できなくなるスピンのHdc依存性が明らかになり、SG系の凍結温度以下のスピンダイナミックスについて重要な知見が得られた。(2)MnxMgl-xTiO3:1)リエントラント(RSG)転移温度で非線形帯磁率に負の発散が観測された。SG転移に比して発散がブロードであるが、これは反強磁性相が共存することが影響しているためで、RSG転移が熱力学的相転移であることの証拠と考えている。2)ランダム磁場効果を示す試料で、一般に、内部歪に起因すると考えられる余剰の磁化Mexが観測されることが知られている。異方性の弱い系では、Mexがスタガード磁化の2乗に比例することを示し、Mex出現の機構を説明するモデルを提案した。(3)FexMgl-xTiO3:磁化の緩和現象に温度サイクルの及ぼす影響を調べて、SGの多谷階層構造を支持する結果を得た。[B]FexCo1-xTiO3:イルメナイト六方晶のc面内に磁場を印加してM_<ZFC>とM_<FC>の温度変化を測定したところ、M_<ZFC>に相転移を示唆する異常な撮る舞いを見い出した。中性子散乱測定を行った結果、スピンの縦成分と横成分の結合に起因する新しい相転移であることが明らかになった。
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