研究概要 |
一次元性の強い超伝導体であるNb_3Te_4に元素(A=Hg,In,Cd;x≦0.8)を挿入して電気抵抗,超伝導,熱電能に及ぼす元素挿入効果を調べた. 得られた成果の主なものは次の通りである. なお、Nb_3Te_4は約80Kと30Kに抵抗と熱電能の異常を示す. 1.Nb_3Te_4の電気伝導に及ぼすHg,In,Cd挿入効果 (i)Hg挿入効果:濃度を増やすと80Kの抵抗異常は一旦大きくなるが,約x=0.2で消失すること,30Kの抵抗異常は小さくなるが約x=0.3まで残ることを見い出した. (ii)In挿入効果:x=0.1程度の低濃度では80Kの異常は消失し,30Kの異常は逆に大きくすること,x=0.3程度の中濃度では30Kの抵抗異常は消失し,80Kの抵抗異常が著しく大きくなること,x=0.6程度の高濃度では30K,80Kの抵抗異常とも消失し,約140Kに新たな抵抗異常が現れることを見い出した. (iii)Zn挿入効果:濃度(x≦0.3)によらず、80Kの異常は消失し,30Kの異常が顕著になることを見い出した. 2.Nb_3Te_4の超伝導転移温度に及ぼすHg,In,Cd挿入効果 Hg挿入の場合、転移温度は低濃度で顕著な増大(約2.0Kから5.4K)を示し、約x=0.3で飽和し,x>0.3では多少減少する傾向を示す。一方,In,Cdを挿入した場合には,Hgの様な顕著な変化は示さない. 3.Nb_3Te_4の熱電能に及ぼすHg挿入効果 80Kの異常は抵抗同様約x=0.3で消失するが、30Kの異常はx=0.8の濃度でも依然として残っていること,x>0.3では転移温度近傍における熱電能の符号は負から正に変わることを見い出した。
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