研究課題/領域番号 |
09640430
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
坂本 功 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (80094267)
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研究分担者 |
大原 繁男 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (60262953)
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キーワード | ドハース・ファンアルフェン効果 / フェルミ面 / 電子構造 / イッテリビウム化合物 / ウラン化合物 / f電子 / 強相関系 / 重り電子系 |
研究概要 |
YbやU化合物には、価数揺動(IV)状態や重い電子(HF)状態になるものが数多くある。これらの状態の出現はf電子と伝導電子が混成することに由来する。希土類原子間距離d_<RE-RE>とIVやHF状態の出現には強い相関があり、d_<RE-RE>≦4Åの領域でIVやHF状態が観測される。現在我々はd_<RE-RE>≒4Åを挟むYb化合物YbZn_<11>(d_<RE-RE>=5.6Å)、YbSn_3(4.6Å)、YbAl_3(4.2Å)、YbBi_2(4.0Å)の及びUGa2(4.0Å)の電子構造をdHvA効果を用いて測定している。特にsf混成が電子構造へ及ぼす効果について注目している。また格子間距離を縮めることによって生じる混成効果を見るために、高圧下でのdHvA効果の測定も進めている。 YbSn_3は補償された金属であり、3.7Kで超伝導を起こすことが磁化・電気抵抗の測定から明らかになった。サイクロトロン質量は0.44m_0が最大であり、sf混成効果は顕著でないことがわかった。しかし高圧下におけるサイクロトロン質量は9kbarの圧力下で20%程度も減少すること、また質量増強因子の圧力依存度が通常金属に比べて一桁程度大きくなることは、f電子系物質の特質と見ることもできる。YbZn_<11>では10000Tに及ぶdHvA周波数が観測された。サイクロトロン質量は0.8m_0程度と大きいが、sf混成はYbSn_3と同様に顕著ではないことが分かった。また磁化率の測定はYbの価数が2+であることを示した。YbBi_2は2次元的に結晶が成長するため、dHvA効果の測定には困難を極めたが、B//[010]にて観測に成功し、約40Tと2000Tの周波数を得ることができた。サイクロトロン質量はYbSn_3に比べて重いものであった。UGa_2では2000T以下の振動のみが観測されているが、サイクロトロン質量はYbZn_<11>に比べてほぼ一桁大きいものであった。
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