本年度は、RCu_2の強磁場中でメタ磁性として現れる磁気異方性軸転換の研究を中心に行った。具体的には、R(希土類イオン)としてHo、Ceを中心に同じ結晶構造のPrZn_2にも視野を広げ、強磁場磁化測定を行った。その結果、CeCu_2では磁気異方性軸転換が発見できたが、他の2つの物質では50テスラまでの磁場では磁気異方性軸転換を発見することはできなかった、その原因としては、Hoの場合は他の磁気異方性軸転換をおこす物質と低温では異方性が異なることが分かった。またPrZn_2では遷移金属の電子状態が異なるためにメタ磁性が起きない可能性がある。CeCu_2のメタ磁性は、97年夏の磁気国際会議に於いて発表した。 今まで発見した物質のメタ磁性を総観して、希土類依存性などの系統的な変化について解析を行った。その結果、低温での磁気秩序は希土類によって異なるが、常磁性状態では発見されたすべての物質で転位前後のエネルギー状態の差が温度にして10Kとほぼ一致していることが分かった。これは、希土類イオンが転位での主役を演じているのではないことを暗示している。つまり、転位の発見されたすべての物質で共通なCuイオンが主役を演じているのではないかと推察できる。また、DyCu_2やPrCu_2のメタ磁性の解析から、この転移の原因は四重極モーメント間の相互作用と考えられることが分かった。これらのことを考えあわせると、磁気異方性軸転換はCuイオンの電子状態が強く効いている四重極モーメント間の相互作用によっておこるということが推察できる。
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