研究概要 |
本研究では、主にRCu_2の強磁場中でメタ磁性として現れる磁気異方性軸転換の研究を中心に行った。具体的には、R(希土類イオン)としてHo、Ceを中心に同じ結晶構造のPrZn_2にも視野を広げ、強磁場磁化測定を行った。また、ウラン化合物においては、四重極モーメントが重要な役割を果たすUPd_3の強磁場磁化を測定し、四重極モーメントによるメタ磁性について新たに発見した。 具体的にはRCu_2系では、R=Ce、Pr、Dy、Tbで磁気異方性軸転換のメタ磁性を示すことがわかった。このとき、常磁性状態では発見されたすべての物質で転位前後のエネルギー状態の差が温度にして10Kとほぼ一致していることが分かった。この事はf電子の状態というより、結晶構造、Cuイオンなどがこのメタ磁性に大きくかかわっていることを示している。また、f電子の軌道角運動量のL=3,2に電子が入っているとき、この特徴的な磁気異方性軸転換が起こることがわかった。 PrCu_6、PrNi_5について強磁場メタ磁性の研究を行なった。これらの物質では四重極モーメントは大きな働きを示すことが明らかとなったが、PrCu_2のような磁気異方性軸転換は起きなかった。PrNi_5では結晶場によるメタ磁性が四重極モーメント間の相互作用により、ブロードになることがわかった。Pr化合物では四重極相互作用が重要なことがわかった。 UPd_3では初めて四重極モーメントによる磁気相図を決定することができた。また、小さなメタ磁性を発見したが、このメタ磁性も四重極秩序と関係しており、新しいタイプのメタ磁性である可能性がある。これらについては現在解析中であり、その後に論文として発表する予定である。
|