研究課題/領域番号 |
09640434
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
石塚 守 大阪大学, 極限科学研究センター, 助手 (30184542)
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研究分担者 |
遠藤 将一 大阪大学, 極限科学研究センター, 教授 (10001843)
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キーワード | 超高圧 / 磁化測定 / SQUID磁束計 / ダイヤモンド・アンビル・セル / バナジウム / 超伝導転移温度 |
研究概要 |
ダイヤモンド・アンビル・セルとSQUID振動型磁束計の組み合わせからなる高圧下精密磁化測定装置の開発とそれを用いての磁気相転移の研究が本課題である。前年度はクライオスタットの改良を行い測定感度、温度範囲、発生圧力に関して大幅な性能向上を達成した。今年度は、それを用いてCrTeの圧力誘起磁気相転移の検証とバナジウムのメガバールにいたる超高圧下での超伝導転移温度の圧力変化の測定を行った。CrTeはTcの圧力効果が非常に大きな強磁性体であることから高圧下の磁性について古くから多くの研究がなされてきた。1970年代にGrazhdankinaらのグループは高圧下ESRや中性子回折実験を行い3.5GPa以上でCrTeの強磁性が消失することを報告したが、実験精度や試料の質に関して問題があり詳細はわかっていない。今回、良質の試料を用いて18GPa付近まで磁化測定を行い、6〜7GPaで強磁性が消失することを明らかにした。ただし、測定温度領域内ではキュリー温度を決めることが出来なかったので相図は描けなかった。測定温度の上限をさらに上げることが今後の課題である。バナジウムの超伝導転移温度は正の大きな圧力係数を持ち50GPaまで単調に増大することが知られている。この増加がどこまで続くか調べるために100GPaを越える圧力まで測定したところ、ニオブで見られているようなフェルミ面のトポロジーの変化は見られず、超伝導転移温度は112GPaまで依然として単調に増大することがわかった。112GPaでは16.4K(常圧の3倍)にも上がり、単体金属元素では現在知られている中で最高の転移温度を示すこともわかった。
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