研究概要 |
1995年にアメリカのWieman等はレーザーによって原子の運動を制御しRb原子の集団を磁気光トラップ法により閉じ込め170nKに冷却し、ボ-ズ、アインシュタイン凝縮の観測に成功した.その後、Na,Liの冷却にも他のグループがレーザー光と磁場を巧妙に組み合わせて成功した.これらのアルカリ原子ガスの量子縮退状態はHe^4の超流動やフェルミ系の超伝導と類似の巨視的量子現象であるが、研究は端緒についたばかりであり実験的にも、理論的にも解明すべき点が多々ある.そもそもボ-ズ凝縮と超流動性との関係もまだよくは理解されていない.このような実験の状況に鑑み本年度においては希薄ボ-ズ系に対するBogoliubov理論を発展させて、この系の基底状態、励起状態を明らかにすべく基礎的な研究を行った. 第一に行ったのは、無限系に対して、系が一様な場合についてGross-Pitaevskii方程式とHartree-Fock-Bogoliubov方程式を自己無撞着に解き、ボ-ズ、アインシュタイン凝縮の基本的諸性質を明らかにしたことである.第二に行ったのは、そこで開発した数値解放のためのプログラムを拡張して実際の実験にあわせて、閉じ込めポテンシャルを導入しゼロ音波の速度の計算を上の近似の範囲で求めたことである.その結果を最近Naに対してStamper-Kurn達が行った実験と比較し、一応の説明と理解を得た. その他に、次年度の研究につなげるためにフェルミ系の超伝導中の渦の予備的な計算もあわせて実行した.
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