研究概要 |
当年度においてはボーズとフェルミの両系に対して研究を行い最終年度としての研究のしめくくりを行った.アルカリ原子ガスのボーズ・アインシュタイン凝縮相において量子渦が観測されたのを受けて理論面からこの実験を考察した.その結果我々が従来から主張してきた渦の絶対的不安定性については現在も実験によってその当否がチェックできる段階に達していないことが判明した.他方渦生成のための外部回転減速度の評価はトマス・フェルミ近似による評価よりも我々の微視的理論の方が実験値に近い値を与えることがわかった,しかし正確な対応づけについてはまだ問題点もあり将来の問題として残った. フェルミ系の低温現象としてUGe_2を解析した、この系において圧力下で強磁性と超伝導が共存していることが実験的に明らかになった.強磁性の秩序形成に伴う巨大な内部磁場を考えると通常のスピン一重項状態ではあり得ず,可能な対関数について理論的に追究した,現在得られた結論はスピン三重項対の中でもノンユニタリー状態と呼ばれる特異な状態が実現しているというものである.
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