研究概要 |
CuV_2S_4は3次元結晶であるのにも拘わらず、低次元物質の典型的な特性である電荷密度波(CDW)転移する。高温では、^<63>Cu,^<65>Cuも^<51>Vもその核磁気緩和率はコリンハ則に従い、単純な金属である。51Vの緩和は90K位からアレニウス的温度変化を示し、CDWによるエネルギーギャップの形成を示す。しかし、75K以下になると再びコリンハ則に従い、エネルギーギャップが異方的と考えられる。^<63>Cu,^<65>Cuの緩和は高温では両者の比が磁気回転比の自乗に比例し、磁気緩和を示すが、CDW転移が近づくと四重極緩和が効いてきて、その比が逆転し、四重極モーメントの比の自乗に比例する。緩和率は90Kで発散傾向を示す。Cu位置での電場勾配が非常に大きくなったと考えられるが、^<63>Cu,^<65>CuのNMRスペクトルはCDWにより消失することと符合する。^<51>Vのナイトシフトは高温で内殻分極が効き負であるが、CDWによりそれが減少し正値に変わる。これはCDWの各波長に2個づつの電子が配分されたことと解釈される。Cu核の超微細結合定数は正値を示し、超交換相互作用が存在することを示唆する。それらの核の横緩和率もCDW転移温度で得意な変化を示す。 同じスピネルのCuTi_2S_4のNMRによる研究も行った。またこの間、スイス・チューリッヒ大学で共同研究を行い、高温超伝導体YBa_2Cu_4O_8の^<63>Cu(2)NQRの緩和率の測定により、スピンギャップ温度がアイソトープによりどのように変わるかを調べた。
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