研究課題/領域番号 |
09640442
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
佐藤 英行 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (80106608)
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研究分担者 |
菅原 仁 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60264587)
青木 勇二 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20231772)
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キーワード | f電子系 / ホール効果 / 熱電能 / 微電圧測定 / 非フェルミ液体 / 重い電子 |
研究概要 |
SQUID電圧計を用いた輸送効果の精密測定のための、バッテリ-動作低電流電源が導入され、^3Heシステムと組み合わせた測定が進められている。0-磁場での測定では、1pV程度の制度での電圧測定は腰囲に測定できることを確認した。更に、磁場中での測定のための改良を行っている。 同時に、種々の物質系でホール効果、熱電能の測定を行い興味深い結果が得られたが、ここでは特に非フェルミ液体異常を示す系について報告する。CeNi_2Ge_2は定比化合物としては、初めて常圧で非フェルミ液体異常が見出された物質であり、メタ磁性を起こす典型物質CeRu_2Si_2と格子定数を初めとする多くの類似性を持つ。最近、CeRu_2Si_2のホール係数に関し、帯磁率が異方性を示すのに対し等方的であること、低温ではフェルミ液定論に基づく理論予測を満たすこと等が報告されおり、比較の観点からもCeNi_2Ge_2のホール効果は興味深い。測定の結果、ホール係数は異方的であること、フェルミ液体論の予測に従わないことを見出した。フェルミ液体異常が初めて見出されたY_<1-さ>U_XPd_3において、ホール係数の温度依存を測定したところ、温度依存の概略は通常のskew散乱の考えで説明的できることが分かった。濃度依存の結果により、この系の示す非フェルミ液体異常がスピングラスの相境界に近いために生じているとの可能性を確認した。これに対し、多重極近藤効果の可能性が指摘されているU_XY_<1-X>Ru_2Si_2では、異常な振る舞いを観測した。ホール効果の温度依存性は高温ではskew散乱モデルで説明できるが、特性温度^〜40K以下でモデルの予想と全く逆に減少することを見出した。また、熱電能にも同じ温度領域で急激に減少し、^〜8Kにシャープな極小を示す。これらは、通常のf-電子系には期待できぬ振る舞いであり、この物質の基底状態の異常性を証明している。
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