研究課題/領域番号 |
09640452
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松原 史卓 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90124627)
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研究分担者 |
白倉 孝行 岩手大学, 人文社会科学部, 助教授 (90187534)
鈴木 伸夫 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30302186)
中村 統太 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50280871)
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キーワード | スピングラス / サイトランダム / シミュレーション / クラスター熱浴法 / 双極子相互作用 / メゾスコピック磁性体 |
研究概要 |
1.スピングラスの研究 継続研究としてスピングラスの低温相の研究をおこなった。今年度は、より現実の物質に近いハイゼンベルグ型スピングラス相転移の可能性について検討した。従来、この模型ではスピングラス相は実現しないとされてきた。我々は従来の解析法(欠陥エネルギー法)に問題があることを発見し、これに代わる解析法として、剛性指数を計算する方法を提案した。この方法を3次元系に適用したところ3次元系でスピングラス相が存在する可能性が有ることが分かった。 2.シミュレーションアルゴリズムの開発と複雑スピン系の研究 我々は本研究により新しいモンテカルロ法「クラスター熱浴(CHB)法」を開発した(一昨年度報告)。CHB法を使って二つの複雑スピン系の研究をおこなった。(1)2次元ANNNI模型の平衡状態の研究。この研究では、予言されていた中間スピン秩序相の存在を確認し、熱平衡状態の相図を得た。中間相は従来考えられていた温度より低温側の比較的狭い温度領域で出現することが明らかにされた。(2)擬一次元反強磁性体CsCoBr_3の磁気秩序の解析。CHB法を使って、擬一次元効果を考慮した磁気秩序のシミュレーションを初めて行った。この結果は中性子散乱の実験結果を高精度で再現した。これをもとにCsCoBr_3の磁気秩序過程のモデルを提案した。 3.メゾスコピック磁性体のスピン構造 二次元メゾスコッピク磁性体のスピン構造を研究してきた。本年度は積層膜磁性体のスピン構造の研究をおこなった。積層膜磁性体でも二次元系と同様に環流構造が現れるが、中心部のスピンは膜面に垂直にたってくる。
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