研究概要 |
本年度は,アスペクト比の異なる数種類のアクリル容器内で数種類の粒状体について鉛直加振実験を行った.当該研究費で購入した小型振動発生器を装置に組み込み,ファンクション・シンセサイザーによって加振周波数や振幅を変化させることによって,流動状態の再現性が飛躍的に向上した.これを踏まえて,下記のような新たな知見が得られた.1.粒状体が鉛直面内で2次元的であるとみなせる場合,重力に相対的な加振加速度Γと粒子径に相対的な層の厚さHが支配的なパラメターになっており,(1)対流の発生するΓの臨界値は1で,これは容器の形状や粒子の種類,Hの値などに依らない,(2)Hの充分大きな場合には,Γの上昇にともない対流の向きの逆転やセル数の増加,対流の表層集中が見られる,(3)Hが10程度以上でΓが3程度以下の場合には自由表面の平面性が崩れ,安息角をもつ山を頂点とした定常的な対流が見られる,しかしΓが4程度以上では,前述の山の斜面に小さな波動が発生してこれが谷に向かって移動する,(4)Hが10程度以下の薄層でΓが5程度では規則的な定在波が発生する.波の波長は加振振動数が低いほど大きい.パターンの波高は波長と同程度で,これは水の波の場合に比べて著しく大きい.またパターンの周期は,加振周期の2倍である.2.粒状体が水平面内で2次元的であるとみなせる薄層の場合,Γの上昇に伴って,(1)円錐形パッチ,(2)正方形格子,(3)6角形格子,(4)縞状と変化する.とくに(2)から(4)の場合には,パターンは定常的で凸部と凹部の交代する周期は加振周期の2倍になっている.(2)の条件下で粒径の異なる粒子が含まれていると,後者は分離され,セル表面上をカオス的に揺動する.その変位相関はフラクタル的な指数をもち,粒径が充分大きければ連続運動に,また粒径が媒質のそれに近づくと完全なブラウン運動に近づく.
|