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1997 年度 実績報告書

相関の強い電子系の超伝導の理論

研究課題

研究課題/領域番号 09640460
研究種目

基盤研究(C)

研究機関京都大学

研究代表者

池田 隆介  京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60221751)

研究分担者 山田 耕作  京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90013515)
キーワード電子相関 / 超伝導 / 強結合 / d-pモデル / モット転移 / 超伝導ゆらぎ / 乱れ
研究概要

相関の強い電子系のモット転移近傍の電子状態と超伝導転移に関連して、大きく分けて次の3つの題材について成果を得た。1)光電子分光の実験や依田・山田による予備的な計算を通して、モット転移近傍の電子系では電荷のスクリーニング効果が弱いため、電子間斥力の長距離クローン的振舞いが無視できないことが示唆され、従来の理論では無視されていた自己エネルギーの波数依存性による電子の有効質量の減少がその電子状態の特徴だとする新しい知見につながった。今回、この見解を定量的なものにする目的で、d-pモデルや長距離クローンを含めた2次元ハバ-ドモデルの下で摂動計算を数値的に実行し、実験と比較し得る結果を得た。複数のモデルでは同様な計算による結果は、今後得られるであろう複数の物質での実験データとの比較によりどのモデルがどの物質の記述に適当であるかを理解するのにも有用になるであろう。2)酸化物高温超伝導のメカニズムに関わる問題として、低ド-ピング領域でのT_Cのド-ピング依存性などは重大な未解決の問題である。光電子分光によるフェルミ面の観測が示した、いわゆる擬ギャップが超伝導秩序パラメタと同じd_<χ2-υ2>対称性を持つという事実は、擬ギャップが生じ始める温度が超伝導揺らぎのオンセットに相当するという解釈を可能にする。この見地からは、ド-ピングの減少とともに超伝導キャリアー対はより強結合になるという理論的記述が自然である。この強結合理論をd-pモデルに適用して、d_<χ2-υ2>対の超伝導が低ド-ピング領域でどのように生じるかを調べ、さらに計算の精度を上げれば実験データを説明できるだろうという感触を得た。3)相関の強い電子系での乱れの効果も興味ある題材である。今回、磁場下の超伝導現象を対象にこれをとり上げ、乱れと電子間斥力との競合が量子超伝導揺らぎを著しく強めることを示した。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] S.Yoda and K.Yamada: "Perturbation Approach to One-Particle Spectra and Charge Susceptibility of Two-Dimensional d-p Model" Journal of the Physical Society of Japan 誌. 66. 1398-1404 (1997)

  • [文献書誌] S.Koikegami and K.Yamada: "Strong Coupling Approach of the d-p Model on the Basis of Fermi Liquid Theory" Journal of the Physical Society of Japan 誌. 67・4. (1998)

  • [文献書誌] S.Yoda and K.Yamada: "Perturbation Calculation of R-mass for Two-Dimensional Hubbard Model with Long-Range Coulomb Interaction" Journal of the Physical Society of Japan 誌. 67.5. (1998)

  • [文献書誌] H.Ishida and R.Ideda: "Ginzburg-Landau Functional in Strong Fields of Disordered Superconducting Films" Journal of the Physical Society of Japan 誌. 67・3. (1998)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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